
プレコを飼育していると、突然体に白い点や綿状のものが現れて驚くことがあります。
インターネットで「プレコ 白くなる」と検索し、愛魚の体調不良に心を痛めている方も多いのではないでしょうか。
この症状の多くは白点病や水カビ病といった病気が原因であり、早期の発見と適切な治療法、そして日頃からの対策が不可欠です。
病気の放置は命に関わる失敗や後悔につながることもあります。
この記事では、プレコの体色が白くなる主な原因を詳しく解説し、それぞれの症状に応じた具体的な対処法と予防策をご紹介します。
この記事を読むことで以下の点について理解を深められます
・最も一般的な病気である白点病と水カビ病の症状、原因、具体的な治療法がわかる
・プレコの治療薬使用時に注意すべきデリケートな体質への配慮が学べる
・日常の飼育環境で実践できる水質管理やストレス軽減の予防対策が身につく

プレコが白くなる原因のほとんどは病気とストレス
プレコの体色が白っぽくなる現象は、いくつかの原因が考えられますが、多くの場合、病気、ストレス、または水質の悪化が主な理由です。
これらの原因は互いに関連し合っていることも多く、特に魚の免疫力が低下した際に症状として現れやすくなります。
- プレコが白くなる原因の特定手順と観察のポイント
- 最も多い白点病の初期症状と発症の引き金
- ウオノカイセンチュウが原因の白点病治療法
- 白点病対策:水温と水質の安定化
- 水カビ病:白い綿状のカビが付着する病気
- その他のプレコの体色変化を伴う病気
プレコが白くなる原因の特定手順と観察のポイント
プレコが白くなったことに気づいたら、まずその症状を詳しく観察することが大切です。
白い点が多数付いているのか、白い綿のようなカビが付いているのか、あるいは体全体が白っぽく変色しているのかによって、原因となる病気や問題点が異なります。
観察のポイント
体表に小さな白い点(塩をまぶしたような見た目)があれば、白点病が強く疑われます。
一方で、白い綿のようなカビが体の一部や傷口に付着している場合は、水カビ病の可能性が高いです。
また、体に明らかな斑点やカビが見られず、全体的に白っぽくなっている場合は、水質の悪化や環境の変化によるストレス、あるいはエロモナス病などの他の病気が考えられます。
観察後、アンモニアや亜硝酸塩、pHなどを測定し、水質に異常がないか確認することも原因特定には欠かせない手順です。
水質が悪化している場合は、直ちに水換えを行い、水質の改善を図ることが優先されます。
このように、まずは症状と水質の両面からチェックし、適切な対処法を見極めることが肝心です。
最も多い白点病の初期症状と発症の引き金

プレコが体表に小さな白い点(斑点)を多数つける病気は白点病と呼ばれ、最も一般的な病気の一つです。
症状と原因
白点病の症状は、魚の体表やヒレに白い点が現れることで、進行すると白い点が全身に広がり、魚は体を水槽の壁や底にこすりつけるような仕草を見せるようになります。
この病気の直接的な原因は、ウオノカイセンチュウ(イクチオフチリウス)という繊毛虫の一種の寄生虫です。
発症の引き金
この寄生虫は水槽内に常在していることがありますが、魚の抵抗力が落ちたときに増殖して症状を引き起こします。
具体的には、水温の急激な低下や変動、水質の悪化が発症の大きな引き金となります。
新しく魚を購入した際に、病原虫が水槽内に持ち込まれることもあります。
特に輸入直後の個体や体力が低下しているプレコは、環境の変化に弱く、発症しやすい傾向があります。
ウオノカイセンチュウが原因の白点病治療法
白点病と判断された場合、早期に治療を開始することが非常に重要です。
この病気の原因であるウオノカイセンチュウは、魚に寄生している時と、水中にいる時で薬が効くタイミングが異なるため、適切な方法で治療を行う必要があります。
治療の基本
治療の基本は「水温を上げる」ことと「薬浴」です。
ウオノカイセンチュウは低温を好み、水温が28℃程度まで上がると活動が鈍化し、30℃以上では繁殖が弱まることが知られています。
水温を28℃〜32℃程度まで上げることで、プレコの新陳代謝を良くし、寄生虫の活動を弱める効果が期待できます。
同時に、寄生虫の駆除に効果のある魚病薬を用いて薬浴を行います。
メチレンブルー系やマラカイトグリーン系の薬(アグテン、ヒコサンZなど)が一般的に使われます。
ただし、後述の通りプレコは薬剤に弱い魚であるため、規定量よりも薄めの濃度で慎重に投薬することが注意点となります。
白点が体から消えても、寄生虫が底砂や水中に潜んでいる可能性があるため、最低でも5〜7日間は治療を続けることが大切です。
白点病対策:水温と水質の安定化

白点病を予防するには、寄生虫が増殖しにくい環境を整え、プレコの免疫力を維持することが対策の鍵となります。
予防の基本
最も重要なのは、水温と水質の安定化です。
白点病は水温の急な変化によって発症しやすいため、特に季節の変わり目などはヒーターを使用して水温を一定に保つことが大切です。
25℃以上の水温で飼育すると、ウオノカイセンチュウの活動を抑えることができます。
また、水質の悪化はプレコの体力を奪い、病気への抵抗力を低下させます。
このため、定期的な水換えとろ過フィルターの掃除を行い、水質を良好に保つよう心がけましょう。
水質悪化を防ぐことは、病気の予防だけでなく、プレコが健康に過ごすために不可欠な要素です。
新しい魚を水槽に入れる際は、事前に別の水槽で数日間隔離し、病気の兆候がないか観察する水合わせを慎重に行うことで、白点病の持ち込みを防ぐことができます。
水カビ病:白い綿状のカビが付着する病気

プレコの体に白い綿状のカビが付着している場合は、水カビ病の可能性が高いです。
この病気も水質の悪化や傷から真菌が感染することで発生します。
症状と原因
水カビ病の初期症状では、体の一部やヒレ、口などに白い綿毛のようなものが付着し始めます。
進行するとカビが増殖し、体全体を覆うようになり、食欲不振や活発さの低下が見られることがあります。
水カビ病の原因は、水カビ科の真菌(カビ)の感染です。
プレコは底床を泳ぐ習性があるため、硬い底砂で体を傷つけたり、底砂が汚れていたりすると、その傷口から真菌が侵入しやすくなります。
水槽内の常在菌である真菌が、水質の悪化や体表の傷によって繁殖しやすい環境が整うことで発症します。
その他のプレコの体色変化を伴う病気

プレコが白っぽくなる原因は白点病や水カビ病だけではありません。
体色の変化は、他の深刻な病気やストレスが原因である可能性も考えられます。
エロモナス病
エロモナス菌の感染によって引き起こされる病気で、白い斑点や充血、腹部の膨れなど、多様な症状が現れます。
重症化すると鱗が逆立つ松かさ病や、体に穴があく穴あき病になることもあります。
水質が悪化している状況でプレコの体調が悪くなると発症しやすく、進行が早いという特徴があります。
尾ぐされ病・口ぐされ病
カラムナリス菌の感染が原因で、ヒレの先端が白くなり、次第に裂けていく症状が現れます。
口に感染した場合は口ぐされ病と呼ばれます。
プレコが怪我をしている箇所から感染したり、水質の悪化や体調不良で免疫力が下がっている時に感染することが多いです。
ストレス
プレコは臆病な性質を持っているため、環境の変化や水質の急変、混泳相手との相性などが大きなストレスとなり、一時的に体色が白っぽく変化することがあります。
これは病気ではありませんが、ストレスが長期化すると免疫力が低下し、結果的に病気を発症する引き金になりかねません。

プレコが白くなる原因への対処と日頃からの予防策
プレコが白くなる原因を特定した後は、病気の治療と並行して、日頃の飼育環境を見直すことが重要です。
特に薬剤に敏感なプレコの治療には細心の注意を払う必要があります。
- 水カビ病治療法と薬浴の際の注意点
- ストレスによる体色変化と軽減のための対策
- 水質悪化による体調不良と水換えの重要性
- プレコを病気から守るための日頃の対策と予防
- プレコの薬浴で注意すべきナマズの仲間特有の点
- プレコが白くなる原因と対策:まとめ
水カビ病治療法と薬浴の際の注意点
水カビ病治療法の基本は、病気のプレコを隔離した上での薬浴と、元の水槽の環境改善です。
治療の流れ
まず、感染したプレコを別の水槽(隔離水槽)に移して薬浴を行います。
水カビ病に有効な魚病薬としては、初期段階であればメチレンブルー水溶液やグリーンFリキッドが挙げられます。
症状が進行している場合は、マラカイトグリーンが配合されたアグテンやヒコサンZが効果的です。
また、白い綿状のカビは、ピンセットや綿棒などを使い、優しく取り除いてから薬浴を行うと、より治療効果が高まると言われています。
環境改善の重要性
前述の通り、水カビ病は水質の悪化や傷口から真菌が感染することで発症します。
そのため、治療と並行して、元の水槽の水を大幅に交換し、ろ過装置の掃除や底砂の汚れを取り除くなど、水質を改善することが不可欠です。
ストレスによる体色変化と軽減のための対策

プレコが病気ではなく、ストレスによって体色が変化していると判断した場合は、飼育環境を見直すことで体色を元に戻すことができます。
ストレス軽減の具体的な対策
プレコは物陰に隠れることを好むため、流木や岩、土管などの隠れ家を水槽内に多めに用意し、安心できる環境を作ってあげましょう。
また、水質の急変は大きなストレスになります。
そのため、水換えは一度に大量に行わず、少量ずつ頻繁に行うことで水質の変動を避けるように心がけてください。
混泳させている場合は、気性の荒いプレコや他の魚との相性を考慮することも大切です。
水質悪化による体調不良と水換えの重要性
プレコは比較的丈夫な魚ですが、水質が急激に悪化すると体調を崩し、体色が白っぽくなることがあります。
水質管理の徹底
水質の悪化を防ぐためには、定期的な水換えが最も重要です。
また、ろ過フィルターの掃除を行い、ろ過機能を維持することも必要です。
特に、プレコはフンが多い魚種であるため、底砂に溜まったフンや食べ残しが水質悪化の原因にならないよう、プロホースなどを使って定期的に掃除を行う必要があります。
ろ過バクテリアのバランスを整えることも、水質安定化に不可欠です。
水換えの際、ろ過バクテリアが死滅しないように、ろ材の洗浄は飼育水や汲み置きした塩素を抜いた水で行うように注意してください。
プレコを病気から守るための日頃の対策と予防

プレコを病気から守るためには、日常的な飼育管理と予防策を徹底することが最も確実な対策です。
飼育環境の予防策
真菌や寄生虫の感染を防ぐために、水槽内にプレコの体を傷つけるような鋭利な流木や石がないか確認しましょう。
また、プレコは底床を泳ぐ習性があるため、底砂には角のない細かい砂(田砂など)を選ぶか、底砂を敷かないベアタンクで飼育することも、ケガのリスクを減らす有効な手段となります。
観察と早期対応
毎日、プレコの体に異常がないか、元気がないプレコはいないか、よく観察することが大切です。
病気の初期段階であれば治療の期間も短く、治る可能性が高くなります。
早期発見と早期対応が、病気の被害を最小限に抑える鍵となります。
プレコの薬浴で注意すべきナマズの仲間特有の点
ナマズの仲間であるプレコは、一般的に薬剤に弱いという特徴があります。
これは、プレコには鱗がなく、その代わりに体を守る粘膜が薄い、あるいは薬剤の吸収が早いといった理由が考えられます。
規定量に注意
薬浴を行う際は、薬剤の規定量を守るとプレコが衰弱したり、最悪の場合死に至ってしまうことがあります。
特に大型のプレコはエラも大きく、薬の吸収が早いため、急に体調が悪化する可能性があります。
したがって、プレコを薬浴させる場合は、魚病薬の規定量の半分から3分の1程度の薄めの濃度で試すなど、慎重に対応する必要があります。
このように、薬浴による治療は有効ですが、プレコの様子をよく観察しながら濃度を調整することが重要です。
不安な場合は、薬浴以外の治療法(水温を上げるなど)を検討するか、まずは薄い塩浴で様子を見ることも選択肢の一つです。
ただし、塩浴についてもプレコの種類によっては敏感な個体がいるため、注意が必要です。
| 治療薬の種類 | プレコへの適応 | 薬浴時の注意点 |
| メチレンブルー系 | 白点病、水カビ病に有効 | 比較的魚毒性が低いとされる |
| マラカイトグリーン系(アグテンなど) | 白点病、水カビ病に強い効果 | メチレンブルー系より魚毒性が高い可能性あり |
| 塩浴(民間療法) | 浸透圧調整の負担軽減 | プレコの種類によっては塩に敏感なため注意 |
プレコが白くなる原因と対策:まとめ
- プレコが白くなる原因は白点病、水カビ病、ストレス、水質悪化の主に4つが考えられる
- 白点病はウオノカイセンチュウという寄生虫が原因で、白い点が体表に現れる
- 水カビ病は真菌の感染が原因で、白い綿状のカビが体に付着する
- 発病の引き金は水温の急変や水質の悪化、魚の免疫力低下によるものが多い
- 白点病の治療法は水温を28℃以上に上げることと薬浴が基本となる
- 水カビ病の治療法は隔離して専用の魚病薬で薬浴すること、および水槽の環境改善である
- プレコはナマズの仲間であるため、薬浴の際は規定量の1/2から1/3の薄い濃度で慎重に行う必要がある
- ストレスによる体色変化の場合は隠れ家を増やしたり、水質の急変を避けることで改善が期待できる
- 水質悪化を防ぐためには定期的な水換えとろ過器のメンテナンスが不可欠である
- 新しい魚を導入する際は隔離して様子を見るなど、病原虫の持ち込みを防ぐ予防が大切である
- 日頃からプレコの体に傷がないか、活発さに変化がないかを観察し早期発見を心がける
- エロモナス病や尾ぐされ病など、他の病気でも白い斑点やヒレの白化が見られることがある
- 底床は角のない細かい砂を選び、プレコの体を傷つけないよう配慮する
- 治療を行う際には、まず水質をチェックし、必要に応じて水換えを行うことが推奨される
- 水温の急激な変化を避けることが最も確実な病気対策の一つである



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